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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


直接攻撃を避けられるも、轟君は息つく間もなく氷結で襲いにかかる。
先程より縮まった距離のせいか、今度こそ避けきれずに、緑谷君の右足が氷結に捕まった。

「!」

今度は指では無理だと思ったのか、左腕で氷結を破壊し難を逃れる。

「…さっきよりずいぶん高威力だな。近付くなってか」
「うゔゔ」
「守って逃げるだけでボロボロじゃねぇか」

一旦攻撃の手を止めた轟君の姿を見ていると何だか違和感があることに気付いた。

(もしかして…震えてる…?)

そして、轟君の目線が観客席のある方向へと向いている。
その先にいたのは、さっき試合前に出くわした人物ーーエンデヴァーだった。

「悪かったな。ありがとう緑谷。おかげで…奴の顔が曇った。その両手じゃもう戦いにならねぇだろ。終わりにしよう」
《圧倒的に攻め続けた轟!!とどめの氷結をーー…》

右手の指4本と左腕がボロボロになっている緑谷君にもう氷結を防ぐ事は無理だと、最後の一撃として轟君が氷結を放った瞬間、

「どこ見てるんだ…!」
「!」

そう言った緑谷君はさっきまでの戦いで変色する程負傷している右手の指を弾き、氷結を破壊した。
どう考えたって、あの指でさっきと同じ負荷に耐えるなんて限界の筈なのに、想像できない程の痛みを伴ってる筈なのに、それでもこの試合に勝ちたいということなのだろうか。

「ぐっ…!てめェ…何でそこまで…」
「震えてるよ、轟くん。"個性"だって身体機能の一つだ。君自身冷気に耐えられる限度があるんだろう…!?で、それって左側の熱を使えば解決出来るもんなんじゃないのか…?」
(やっぱり震えていたんだ…)

しかも、左で身体を暖めるというのは何度もしてもらった事がある。
轟君も同じだったんだ。それならば出来ない筈がない。

「……っ!!皆…本気でやってる。勝って…目標に近付く為に…っ一番になる為に!半分の力で勝つ!?まだ僕は君に傷一つつけられちゃいないぞ!全力でかかって来い!!」

その言葉に沿う様に右手で拳を思いっきり握る緑谷君の姿に、心打たれている自分がいた。
轟君の想いを否定する事が出来ない私にはとても衝撃的だった。

(違う。否定してるわけじゃない。きっと、純粋に全力で戦う事を望んでいるだけなんだ…)

きっと、それは、私からは絶対に出てこない言葉だと思った。

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