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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


《ーー引き分けの末キップを勝ち取ったのは、切島!!これで二回戦目進出者が揃った!つーわけで…そろそろ始めようかぁ!》

通路を走っているとプレゼントマイクの実況が聞こえてきた。

(早くしないと、始まっちゃう…)

小休憩が思ったよりも短い事に焦り出した時、漸くステージへと向かう轟君を見つけた瞬間、思いっきり叫んだ。

「轟君!…私っ…と…焦凍君の"個性"好き!」

それは、私の中にあるずっと変わらない想い。
幼い頃に初めて見て綺麗だと思った。
二度目に見た時もまた心奪われ、そう思った。
何度だって、そう想うよ。

「轟君のこと、ずっと見てるから!」

中学一年で氷と炎を見て心を奪われたあの時から。
偶然にも雄英に来て再会した時からも。
もしかしたら、公園で初めて逢ったあの時も。

「試合頑張って!!」

今日、ずっと伝えたくて言えなかった言葉。
どんなに離れていても応援してるよ。
轟君が右だけで勝つというなら、それを応援してる。
だって、それは間違いなく、私が好きな轟君の"個性"だから。

(大事な試合の前なのにごめんね。でも、すぐに伝えないと、また言えなくなってしまいそうだったから…)

これが、今の私の中にある一番強い想い。
皆みたいに目指してるモノの為にっていう想いに比べたら、ちっぽけなものかもしれない。
それでも、この想いを…言えずにいた言葉を…伝えたい。
そう、強く思ったんだ。

「…おお」

短く返事をくれて、轟君はステージに続くゲートへと姿を消した。
きっと、今は次の試合の事で頭がいっぱいだろうから、言葉を聞いてもらえただけで充分だ。
そして、その試合を見届ける為に観客席へと戻っていた時だった。
向こう側から誰かがこちらに歩いてくる姿が見えて見えた。

「!?エン、デヴァー…!」
「ん?…貴様はあの時の小娘か」
「あ…お久しぶりです…」
「"個性"は使えるようになったのか?」
「…え?」
「まぁ、いい。俺は急いでるんでな。失礼する」

そう言うと、やはり息子の試合が気になるのか、直ぐにその場を立ち去ってしまう。
相変わらずの威圧感で、何故か私の"個性"の事を知っているみたいな感じだったけど…それよりも見てるって伝えたのに試合に遅れるわけにはいかないので、急いで観客席に戻った。

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