第4章 原作編《体育祭》
紫沫SIDE
上空に浮遊していた無数の瓦礫が一斉にステージ目掛けて降り注いでくる。
《流星群ー!!!》
《気付けよ》
「そんな捨て身の策を…麗日さん!!」
こんな大技準備していたなんて思ってなくて、驚きと期待で胸が高鳴る。
「!!」
「デクのヤロウとつるんでっからてめェ。何か企みあるとは思ってたが…」
「……一撃て…」
《会心の爆撃!!麗日の秘策を堂々ーー正面突破!!》
しかし、爆豪君は一枚上手だったようで、全ての瓦礫を一発の爆破で吹き飛ばしてしまった。
「危ねぇな」
「うゔ…」
「いいぜ。こっから本番だ、麗日」
(爆豪君が名前で呼んだ…きっと、お茶子ちゃんのこと改めて対戦相手として認めたんだ)
しかし、ステージ上でお茶子ちゃんが倒れていく姿が目に入った。
「ハッ、ハッ、んのっ…体言うこと…きかん」
すかさず睡さんが制止に入り、状態を確認している。
「許容重量(キャパ)とっくに超えて…!!」
「お茶子ちゃん…」
緑谷君の言葉に心臓がドキリとした。
キャパオーバー…私は意識を失ってしまう…それでも勝ちたい一心でお茶子ちゃんはこの試合に臨んでいる。
この体育祭にかける想いの大きさを改めて実感した。
「まだ…〜〜…父ちゃん…!!」
「…麗日さん…行動不能。二回戦進出爆豪くんーー!リカバリーガールの元へ」
睡さんの審判が下された。
搬送ロボに乗せられてステージを後にするお茶子ちゃん。
私はこの試合で、強く想う気持ちがあるならば、全力を尽くして進む事がどう言う事なのかを教わった気がした。
最後まで諦めずに限界を超えて戦っていた姿を心からカッコいいと思った。
今の私にはまだなかった新たな想いが、自分の中に芽生え始めているのを感じる。
《ああ麗日…ウン。爆豪一回戦とっぱ》
《ちゃんとやれよ。やるなら…》
《さァ気を取り直して。一回戦が一通り終わった!!小休憩挟んだら、早速、次行くぞー!》
皆がそれぞれの想いの為に全力を尽くしてる姿を見て、今の私の中にある想いもそうしたいって思った。
どれが正解かなんてわからなくて、まだ迷っているけど。
今の自分に出来る事が少しでもあると思ったなら、やらなきゃ。
伝えたい言葉があるなら、今伝えなきゃ。
そこまで考えて、私はその場を駆け出した。
(今なら、まだ、間に合うかもしれない)
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