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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


二戦目はいよいよ轟君が出る試合。
一体どんな試合になるのか一戦目よりも更に緊張が私を襲った。
そして、ステージ上に現れた轟君を見た瞬間に嫌な予感が走る。

(あの顔は…あの目は…前にも一度見た事がある。)

もう随分と前だけど、それでも覚えていられる程の印象を与えられた表情。
それは決して良い意味ではなく、寧ろとても悪い意味で。
さっきまで緊張だったものが騒つきに変わっていた。
心臓はずっと煩く鳴っている。

《お待たせしました!!続きましては〜こいつらだ!優秀!!優秀なのに拭いきれぬその地味さは何だ!ヒーロー科、瀬呂範太!!》
「ひでえ」
《対(バーサス)、2位1位と強すぎるよ君!同じくヒーロー科、轟焦凍!!》
「まァーー…勝てる気はしねーんだんだけど…」
《START!》
「つって、負ける気もねー!!!」

瀬呂君の先制でテープが轟君の身体に巻き付き、そのまま場外へと引っ張っていく。
抵抗している気配はない。

《場外狙いの早技(ふいうち)!!この選択はコレ、最善じゃねえか!?正直やっちまえ瀬呂ーー!!》
「悪ィな」

次の瞬間、会場が大きく揺れた。
そして、目の前には今まで見た事もない規模の氷があった。
ここからでは、それがどれだけの大きさなのか見えない程に。

「……や……やりすぎだろ…」
「…瀬呂くん…動ける?」
「動けるハズないでしょ…痛えぇ…」
「瀬呂くん行動不能!!」
「ど…どんまい…」
「どんまーい…」
「どーんまい」
「どーんまい!」
「すまねぇ…やりすぎた。イラついてた」

そう言って、轟君は左を使って氷を溶かしていた。
徐々に目の前の氷も溶けていく。

「轟くん二回戦進出!!」

勝利したのは嬉しい事な筈なのに、素直に喜べるような状況ではなくて、どうしてあんな表情をしていたのかがとても気になった。

(あの顔見た事ある。轟君の家でエンデヴァーと会った時だ…もしかして、ここに来てる?)

姿を見た訳ではないから確信はないけど。
あの時の私は心配ばかりしていて、結局何も出来ないまま離れていってしまった。
今も離れたままだけど、それでももしかしたら…

(轟君が言葉をくれた様に…私も…)

そんな想いが芽生え始めていた。


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