第4章 原作編《体育祭》
轟SIDE
(一戦目は緑谷が勝利した。そして、俺がこれに勝てば次の試合で…)
二戦目に出る為に、ステージへと向かっていると、通路に奴がいた。
「…邪魔だ」
「醜態ばかりだな焦凍。左の"力"を使えば障害物競走も騎馬戦も圧倒出来たハズだろ。良い加減、子どもじみた反抗はやめろ。おまえにはオールマイトを超えるという義務があるんだぞ。わかってるのか?兄さんらとは違う。おまえは最高傑作なんだぞ!」
クソ親父は、心底俺の感情を逆撫でするのが上手い。
「それしか言えねぇのか、てめェは…お母さんの力だけで勝ち上がる。戦いでてめェの力は使わねぇ」
「学生のうち(いま)は通用したとしても、すぐ限界が来るぞ」
そんな言葉を聞いて考えが変わるとでも思っているのだろうか。
俺は右の力だけで1番になると決めたのだ。
今までもこれからもそれを違える事はない。
見てろよ。必ずおまえの全てを否定してやる。
《お待たせしました!!続きましては〜こいつらだ!優秀!!優秀なのに拭いきれぬその地味さは何だ!ヒーロー科、瀬呂範太!!》
「ひでえ」
《対(バーサス)、2位1位と強すぎるよ君!同じくヒーロー科、轟焦凍!!》
「まァーー…勝てる気はしねーんだんだけど…」
《START!》
「つって、負ける気もねー!!!」
開始直後に瀬呂のテープが俺の体に巻き付いてくる。
そのまま場外へと放り出すつもりらしいが、俺にはそんなの関係ない。
こんな物右の力だけで充分だ。
《場外狙いの早技(ふいうち)!!この選択はコレ、最善じゃねえか!?正直やっちまえ瀬呂ーー!!》
「悪ィな」
この時の俺は自分が思う以上に感情的になっていたらしい。
加減を忘れ、発動できるだけ最大の氷結を出していた。
それはステージから観客席を超え外からでも分かるほどの高さになり、会場が揺れる程のモノだった。
瀬呂のテープも凍らせて破壊する。
「……や……やりすぎだろ…」
「…瀬呂くん…動ける?」
「動けるハズないでしょ…痛えぇ…」
「瀬呂くん行動不能!!」
「ど…どんまい…」
「どんまーい…」
「どーんまい」
「どーんまい!」
いくら直前にあんな事があっとはいえ、これは流石に悪い事をしたと思った。
「すまねぇ…やりすぎた。イラついてた」
「轟くん二回戦進出!!」
そうして、俺は次の試合へと駒を進めた。
.