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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


あれから私は暫くその場を動く事ができずにいたけど、何とか涙が止まったところで立ち上がり、心を落ち着かせる為深呼吸をする。

(さっきのは轟君だった。近くにいたのも、泣いてたのもきっとバレてたんだろうな…でも、何であんな風に抱き締めてくれたんだろう…)

この学校に来てから、既に抱き締められたのは2回目…いや、3回目だ。そういえばあのマスコミ騒動の時に助けてくれたのは誰だったんだろうかと考えた時に2回目と3回目に感じていたものと似ている事に気が付いた。

(もしかしてあれは、轟君だった…?)

入学して間もない頃だったし、距離を取られているのだからそんなわけないかとその事は取り敢えず考えるのをやめた。
でも、USJの時は確かに轟君だった。ただ敵から守る為であって、決してそこに特別な感情があった訳ではないのだろうけど。
それでも、あの日離れて行った温もりを再び感じられた事が嬉しかった。
さっきもきっと泣いていたから、ヒーロー志望の轟君は困っている人がいたら助けずにはいられないのだと思う。
だけど、耳元で囁かれたのは助ける為の言葉ではなく感謝の言葉。
もしかしたら、私もまた轟君の助けになれていたのかなと少し自惚れてしまう。
でも、それはとても嬉しい事だから、そう思う事にした。
自分の中だけでなら勝手に勘違いしたって誰も文句は言えない。
ヒーロー科に来て周りに影響を受けているのか、誰かの為になれる事が少し誇らしく思えていた。

「そろそろ帰らないと皆が気にするかな」

途中お手洗いによって目の腫れを確認してから競技場へと急いだ。
着いた時には殆どレクは終わっていて、この後行われるトーナメント戦の準備をするからと、私達は一旦競技場を後にする。




「オッケーもうほぼ完成」

セメントスがステージを完成させ、いよいよトーナメント戦が始まろうとしている。
観客席の中に1-Aに用意された場所があり、私は最前列にいた八百万さんの隣に座った。
これから繰り広げられる試合を少しでも近くで見たくて。

《サンキューセメントス!ヘイガイズ、アァユゥレディ!?色々やってきましたが!!結局これだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな!!心・技・体に知恵知識!!総動員して駆けあがれ!!》


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