第2章 中学生編
紫沫SIDE
『それにしたって、わざわざ家まで送ってくれるなんて…イケメンで優しいとか、もう非の打ち所がないじゃん。』
「確かに…頼まれたとしても、別に途中まででも良かったよね…轟君のお家ってどの辺りなんだろう?」
遠回りをさせてしまったんじゃないだろうかと。
迷惑ばかりかけてしまっていることに今更ながらとても申し訳なくなってきた。
『ん?そういえば、自然と苗字で呼んでるけど今までそんな風に呼んでたっけ?』
「あ、名前知ってることバレちゃって、私の方も知ってもらえたからいいかなって…」
『ほうほう…なんだか知らない間に急接近してる!』
「え!?いや、そんな、友達になれたとかじゃないし、たまたま送ってもらっただけだから!」
『折角なんだから、これをチャンスと思って仲良くなればいいんじゃない?取り敢えず明日朝挨拶すること!折角隣の席なんだし!』
「うーん…」
私以上に興奮しだした幼馴染との通話は終わりが見えない。
明日も学校があるし、出来れば早めに寝たいなと思いつつ。
ベッドに入ったところで彼の事を考えてしまうのは明白で、すぐには寝付けないんだろうなと諦めた。
『あ!それか、今日のお礼にジュースでも奢るっていうのはどう?』
「えっ…あぁ、でも、そっか。たくさん迷惑かけちゃったから何かお礼したいなとは思うかな…」
『なら、決まり!ちゃんと明日挨拶とお礼を忘れないようにね!』
「いや、でも、ジュースなんかでいいのかな?」
『そこは、気持ちの問題じゃない?』
気持ちの問題とは言え、ジュースでいいのかな…
流石に菓子折りなんて渡すわけにもいかないし、残るものは貰っても困るだろうし…
お礼をすると決まったところで、何を渡せばいいのかわからず。
日付が変わっても決まらないまま、時刻はすでに起床時間まで数時間と迫ったところで漸く電話を切った。
電話を終えてから改めて一人で考えはするものの。
なかなかこれといったものは思い浮かばず、気が付けば寝落ちていて。
目を覚ましたのは遅刻ギリギリの時間だった。
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