第4章 原作編《体育祭》
紫沫SIDE
「それじゃあ、組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!レクに関して、進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人もいるしね。んじゃ、1位のチームから順に…」
と、その時だった。誰かの声がして睡さんは口を止めた。
「あの…!すみません。俺、辞退します」
「尾白くん!何で…!?」
「せっかくプロに見てもらえる場なのに!!」
「騎馬戦の記憶…終盤ギリギリまでほぼボンヤリとしかないんだ。多分奴の"個性"で…」
尾白君の目線の先にいたのは、心操君だった。
そういえば、どんな"個性"を持っているのか知らない。
「チャンスの場だってのはわかってる。それをフイにするなんて愚かな事だってのも…!」
「尾白くん…」
「でもさ!皆が力を出し合い争ってきた座なんだ。こんな…こんなわけわかんないままそこに並ぶなんて…俺は出来ない」
「気にしすぎだよ!本戦でちゃんと成果を出せばいいんだよ!」
「そんなん言ったら私だって全然だよ!?」
「違うんだ…!俺のプライドの話さ…おれが嫌なんだ。あと何で君らチアの格好してるんだ…!」
その言葉になんとも言えない気分になってしまった。
それから、同じくB組の人も棄権を申し出て、睡さんに判断が委ねられる。
「そういう青臭い話はさァ…好み!!!庄田、尾白の棄権を認めます!」
(好みで決めていいんですか?睡さん…!)
2人が棄権した事で、予選落ちになっていたB組の人が繰り上がる事になった。
「というわけで、鉄哲と塩崎が繰り上がって16名!!組はこうなりました!」
スクリーンに映し出されたトーナメント表に目を向けると、轟君の初戦の相手は瀬呂君だった。
そして、そこで勝ち上がれば次に当たるのは緑谷君か心操君。
チラッと轟君の方を見るとトーナメント表を見つめていた。
きっと、緑谷君と当たる事を考えているんだろうな。
《よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといて、イッツ束の間。楽しく遊ぶぞレクリエーション!》
そして始まったレクリエーションに、チアの格好をしているならと、競技に参加するのではなく応援として参加する事になった。
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