第4章 原作編《体育祭》
紫沫SIDE
「てめェが何を考えてようが俺の知ったこっちゃねえけどな。そんなアホ面されたら気分悪ィんだよ。あんな話さっさと忘れちまえ」
そう言って爆豪くんはその場を去っていった。
きっと今の言葉は私を心配してくれた…んだと思う。
怖いとばかり思っていたけど、もしかしたら優しい人なのかもしれない。
体育祭が始まってから、いつもは見えないクラスメイトの一面を少し知れた気がした。
「爆豪君、ありがとう」
もう姿は見えなくなっているのに、そう口にしていた。
(…だけど…関係なくても忘れる事なんてできないよ……轟君…)
今何を思っているんだろう。
もしかして、また泣きそうな顔してるのかな。
そんな事を考えながら、私は皆とお昼を食べるつもりだったのだと足を進めた。
そして、お昼休憩が終わり再び競技場へと向かう。
見学とはいえ体育祭参加者には変わらないからと、レクリエーションには出るように言われていたのだ。
《最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ!あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ…ん?アリャ?》
《なーにやってんだ…?》
《どーしたA組!!?》
クラスの女の子達とお昼を食べている時に、チアの格好で応援をしなくてはいけないと聞き、わざわざ八百万さんに"創造"してもらったチアの服を着ていた。
「峰田さん、上鳴さん!!騙しましたわね!?…何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうの私…」
「アホだろアイツら…」
「まァ本戦まで時間空くし、張りつめててもシンドイしさ…いいんじゃない!!?やったろ!!」
「透ちゃん好きね」
「皆のスタイルが良すぎて辛い…」
着てしまったものはどうしようもないので、取り敢えずそのままレクリエーションに参加するしかなかった。
《さァさァ、皆楽しく競えよ、レクリエーション!それが終われば最終種目。進出チーム4チーム。総勢16名からなるトーナメント形式!!一対一のガチバトルだ!!》
「トーナメントか…!毎年テレビで見てた舞台に立つんだあ…!」
「去年トーナメントだっけ」
「形式は違ったりするけど、例年サシで競ってるよ」
続いて、壇上にいる睡さんがトーナメントの事を話し始めた。
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