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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


「……!」
「"超常"が起きてから第二〜第三世代間で問題になったやつ…自身の"個性"をより強化して継がせる為だけに配偶者を選び…結婚を強いる。倫理観の欠落した、前時代的発想。実績と金だけはある男だ…親父は母の親族を丸め込み、母の"個性"を手に入れた。俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで自身の欲求を満たそうってこった。うっとうしい…!そんな屑の道具にはならねえ」

轟君の声が一層低くなったのを感じた。
私に話してくれた時はもう少し静かな声音だった気がする。

「記憶の中の母はいつも泣いている…「おまえの左側が醜い」と。母は俺に煮え湯を浴びせた。ざっと話したが、俺がおまえにつっかかんのは見返す為だ。クソ親父の"個性"なんざなくたって…いや…使わず"一番になる"ことで、奴を完全否定する」
「……」
「……」

あの時から今も変わらず轟君が一人で背負い続けているモノを改めて知る事になってしまった。
いや、あの時からじゃない。それよりもずっと前から抱え続けているのだ。

「言えねぇなら別にいい。おまえがオールマイトの何であろうと、俺は右だけでおまえの上に行く。時間とらせたな」

轟君の言いたい事は終わったのだろう、その場から足を踏み出す音がした。

「僕は…ずうっと助けられてきた。さっきだってそうだ…僕は、誰かに救けられてここにいる。オールマイト…彼のようなりたい…その為に1番になるくらい強くなきゃいけない。君に比べたらささいな動機かもしれない…でも僕だって負けられない。僕を救けてくれた人たちに応える為にも…!さっき受けた宣戦布告、改めて僕からも…僕も君に勝つ!」

そんな風に返せる事を凄いと思った。
きっとこの言葉は、緑谷君にも抱えているものがあるから出てきたんだろう。
私はあの時なんて返せてたのかな。そんな事が頭を過っていた。

「…おい…おい!治癒女!」
「え?あ、ごめん…何?」

爆豪君に声を掛けられていた事に気付かなかった。
というか、一緒にいた事を忘れていた。

「てめぇ何て面してやがる。てめェには関係ねえことだろ」
「いや…うん、そうなんだけどね…」

わかってる。私はただの部外者だ。
それでも、この話をしてくれたあの時に思った事は今も変わらない。
しかし、あの時以上に何もする事が出来ない今が辛かった。


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