第4章 原作編《体育祭》
紫沫SIDE
《そろそろ時間だ。カウントいくぜ。エヴィバディセイヘイ!10!》
カウントダウンの中、最後まで諦めずにポイントを奪ろうとする皆の姿が画面に映し出されている。
《9、8、7、6》
2人の元へ爆豪君が飛び込んできていた。
《5、4、3、2、1》
爆豪君と緑谷君が轟君の前に迫ってきた時、
《TIME UP!》
騎馬戦が終わった事を告げるプレゼントマイクの声が競技場に響き渡った。
その声に何とか騎馬戦が終わった事を理解して、未だ驚きの余韻が残る中、画面の中を見つめ続けた。
《早速上位4チーム見てみよか!!1位轟チーム!!》
『……くそっ…』
1位だと言うのに、轟君の顔はあまり晴れやかとは言えなかった。
《2位爆豪チーム!!》
『だあああ』
《3位鉄て…アレェ!?オイ!!!心操チーム!!?》
『ご苦労様』
《いつの間に逆転してたんだよ、オイオイ!!》
「え?あれ?心操君?」
今の今まで、頭の中はさっきの事でいっぱいだった筈なのに思いもよらぬ人の名前が出てきた事に、私は思わず反応してしまった。
まさか、普通科で知っているたった1人が予選通過していたなんて全然気付かなかった。
それ程までに、私の興味はただ一点にあったらしい。
そして、予選通過最後の一組が発表されていた。
《4位緑谷チーム!!以上4組が最終種目へ…進出だああーーー。一時間程昼休憩挟んでから午後の部だぜ!じゃあな!!!》
プレゼントマイクの言葉で午前の部は終了となった。
「さて、あんたもお昼食べに行きな。それと、次の試合からは手伝いはもう大丈夫だよ」
「え?」
「午後からは午前の比じゃない怪我で来る子が増えるだろうからね。それに、人数も少ない。私1人で何とかなるから、皆と一緒に友達の応援してやんな」
「ありがとうございます!今日はとても勉強になりました。細やかな"治癒"ですけど、もしまた私で役に立てることがあればいつでも声かけて下さい!」
「はいはい、お疲れさん。こっちも助かったよ。ありがとうね」
そして、私はリカバリガールの元を後にした。
お昼ご飯を食べるなら食堂かなとは思ったけれど、もしかしたらまだ皆は競技場にいるかもしれないと思い、そちらへと足を向けたのだった。
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