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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第4章 原作編《体育祭》


紫沫SIDE


『は?』

私の目では飯田君の速さを追いかける事は出来なかった。
気が付くと緑谷君のハチマキは奪われていたのだ。

《なーー!!?何が起きた!!?速っ速ーー!!飯田、そんな超加速があるんなら予選で見せろよーー!!!》
『飯田!何だ今の…』
『トルクと回転数を無理矢理上げ、爆発力を生んだのだ。反動でしばらくするとエンストするがな。クラスメートにはまだ教えてない、裏技さ』
《ライン際の攻防!その果てを制したのは…》
『言ったろ緑谷くん。君に挑戦すると!!』
《逆転!!轟が1000万!!そして緑谷急転直下の0Pーー!!》

緑谷君が途端に慌てだした。
既に時間は残り僅かだった上でポイントが0になってしまったのだ。

『突っ込んで!!』
『上鳴がいる以上攻めでは不利だ!他のPを狙いに行くの方が堅実では…』
『ダメだ!!Pの散り方を把握出来てない!ここしかない!!』
『よっしゃ!』
『!?』
『取り返そうデクくん!!絶対!!!』
『麗日さん…!!』

緑谷君のチームがポイントを取り返そうと駆け出し、"個性"を発動させたその時、轟君の様子が変わった。

『あああああああああ!!!』

緑谷君の右手が轟君の左手に伸びた瞬間、私は自分の目を疑った。

「左手の…」

その後は言葉にならなかった。
数回しか見た事はないけれど、私の目にはしっかり焼き付いている炎が今目の中に飛び込んできたのだ。
それは一瞬の出来事で、あっという間に消えてしまったけれど、決して見間違えたりしない。
見れて嬉しいとか、やっぱり綺麗だなとかいつもなら思う筈なのに、この時の私はその光景にただただ驚くことしか出来なかった。

『ああ。とった!!とったあああ!!!』
《残り17秒!こちらも怒りの奪還!!》

映像の中では止まる事なく試合は進んでいて、緑谷君がハチマキを奪い返した様だった。
そのまま画面を見つめていた私はその様子を見ている筈なのに、さっきの光景が頭から離れなくて、試合の展開についていけてない。

『待って下さい。そのハチマキ…違いませんか!?』
『やられた…!!』
『万が一に備えて、ハチマキの位置は変えてますわ!甘いですわ、緑谷さん!』
『轟くん、しっかりしたまえ!!危なかったぞ!』

それでもどんどん試合は進んでいき、プレゼントマイクのカウントダウンが始まった。


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