第4章 原作編《体育祭》
紫沫SIDE
『無差別放電130万V!!』
『〜〜!!』
『上…鳴!!』
上鳴君の"個性"を上手く活かして、緑谷君を狙っていた他のチームも巻き込んだ攻撃を仕掛けた。
『残り6分弱。後は引かねぇ。悪いが我慢しろ』
『ぐっ!!?』
そして、動きが止まったところで轟君の氷結が他のチームの足元を地面へと縫い付ける。
《何だ何した!?群がる騎馬を轟一蹴!》
《上鳴の放電で確実に動きを止めてから凍らせた…さすがというか…障害物競走で結構な数に避けられたのを省みてるな》
《ナイス解説!!》
『あーーハチマキ!くっそぉお!』
『一応貰っとく』
足止めしたチームの中からいくつかハチマキを奪い、辺りを氷結で囲って逃げ場をなくして、改めて緑谷君目掛けて駆け出した。
『バックパックがイカレた!!?』
『ベイビー!!!改善の余地アリ』
『強すぎるよ!逃げ切れへん!』
『牽制する!』
『八百万!』
緑谷君は背中の機械が壊れた様で上空へは逃げられず、黒影が攻撃仕掛けるが、八百万さんの"創造"で塞がれていた。
『……!!』
『"創造"…!厄介過ぎる!』
『いや…それ以上に上鳴だ』
『!?』
『あの程度の装甲、太陽光ならば破れていた』
『そうか…!上鳴くんの電光…!』
『奴の放電が続く限り、攻めでは相性最悪だ』
『攻撃力低下…それ、向こうには知られてないよね?』
『恐らくな。この欠点は USJで口田に話したのみ、そして奴は無口だ』
『……知られてないなら牽制にはなる…!大丈夫…!何としても1000万は持ち続ける!』
それから緑谷君は常に距離を置いて左側にいるようにしている。
(緑谷君もしかして、気付いてる?轟君が左を使わない事…)
そうして、しばらくの間お互いに付かず離れずの状態が続いていた。
《残り時間約1分!!轟、フィールドをサシ仕様にし…そしてあっちゅー間に1000万奪取!!!とか思ってたよ5分前までは!!緑谷なんと、この狭い空間を5分間逃げ切っている!!》
『キープ!!』
こう着状態のまま時間だけが過ぎていき残り僅かとなった時だった。
『皆、残り1分弱…この後俺は使えなくなる。頼んだぞ』
『飯田?』
『しっかり掴まっていろ。奪れよ、轟くん!トルクオーバー!レシプロバースト』
飯田君が見たことも無い速度で緑谷君の隣を走り抜けていった。
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