• テキストサイズ

保健室の慧先生。

第1章 始業式の日


ピンポーン


何度も聞いた呼び鈴の音だけれど、いつまでたっても聞き慣れることはない。

反射的に布団に潜り込んでしまった。




母が呑気に返事をする声が聞こえてくる。


布団に潜り込んでいるから何を話しているかは聞こえないけど、母は誰かと話しているようだった。



学校の先生じゃないと良いけど......。



そんなことを思いながら、時間が過ぎるのを待つ。



不登校になり始めたとき、家にはよく先生が来ていた。

中学を卒業してもそれは同じで、高校に入学して何ヶ月かの時は、頻繁に学校の先生が私の家を訪れていた。



こっそり誰が来たのか帰り際窓から覗いてみたりもしたが、それは学校に行っていない私にとっては全く知らない人で、後から母に聞くと、担任の先生と養護の先生が交互に来ているらしい。


頭と後ろ姿しか見ていないけど、無意識に会いたくないと感じていた。



今日も来るかもしれないとは思っていたけど、本当に来るとは思っていなかったから、少し驚いた。


ぎぃぎぃと木の軋む音がする。

誰かが階段を登ってきているのだ。


母かもしれないと一瞬思ったが、一人が階段を登るような足音じゃなかったから、誰が一緒に階段を登ってきているのか、なんとなく察した。


でも、部屋にあがってくるなんてことは今までなかったはず。



布団をぎゅっと握りしめて足音が消えることを願った。

その足音は、私の部屋の前で止まった。

/ 18ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp