第1章 始業式の日
しかし、次に山田くんと会える機会はないまま(健康診断がなかった)高校1年生として3月を迎えてしまったのだった。
後々になって、弟にその話をしたところ、「そんなに会いたいんだったら学校行けよ」と当たり前のことを普通に言われて、ただただ傷ついた。
本当に当たり前でど正論だったからだ。
だから、今年こそは学校に行って、同じクラスであることを祈りつつ、同じクラスだったときは、あの時よりも少し踏み込んだお話をしてみたいし、なにより彼の名前を知りたい。
ちなみに、家にあるクラス写真にも学校のHPにも、体育祭以降からしか彼の姿を見つけることが出来なかったから、きっと彼は2学期以降にどこかから転校してきたんだと思う。
あんなにイケメンな人と1年間過ごせたクラスメイトたちが羨ましい。
私も行ったら一緒に過ごせたんだけど、勇気が出なかったんだから仕方ない。
そんなことを考えているうちに、既に10分が経過し、刻一刻と、朝学活の時間が迫ってきている。
やばい。
また、焦りが募る。
どうする?
行く?行かない?
気持ちは行くに傾いてるのに、まだ100%行きたいと思えない自分がいる。
少し手を伸ばせば届くキョリにある制服に手を伸ばしかけてはやめ、伸ばしかけてはやめを繰り返していると、家の呼び鈴が鳴った。