第1章 始業式の日
このクラスの担任の薮宏太先生は、これまた笑顔の素敵な先生だった。
爽やかな感じの、近所のお兄さんって雰囲気をもった先生。
おまけに身長も高くてスタイルが良い。
ちなみに、隣のクラスの八乙女先生と仲が良いようです。
朝学活が終わり、始業式のために体育館に移動する。
出席番号順に廊下にぞろぞろと2列で並ぶ。
ということで、このクラスで私は1年間過ごすことになるんだけど...。
私は教室の中をぐるりと見回す。
1年間、みんなと一緒に普通に過ごすことは出来るだろうか。
「もなも並んでね」
薮先生の声かけに軽く返事をして、自分の出席番号のところに並ぶ。
こうやって、教室から移動する列に並ぶのは、とても久しぶりのような気がする。
新鮮な感じがして、これまた少し楽しい。
というか、学校ってこんなに楽しいところだったんだ。
体育館に着くと、中学校よりももっと大きいと思っていたらそんなこともなく、あまり変わりはなかった。
始業式が始まり、校長先生の挨拶やらなんやらがあって、次は着任式。
今年からこの学校にやってきた先生たちが、壇上にあがる。
6〜7名先生がいて、一番右にいる先生から順に挨拶をすることになった。
伊野尾先生は、左から2番目。
5分ほどして伊野尾先生の番がまわってきた。
先生が一歩前に出ると、急に体育館が騒がしくなる。
騒がしくしている生徒の多くが女子だった。
「こんにちは。僕は今年からこの高校の保健室の先生になりました、伊野尾慧です。早くみんなの顔と名前を覚えたいから、暇なときとか保健室に顔だしてね。待ってます」
最後にお辞儀をして、柔らかく微笑んだ。
女子がまたざわつき始める。
何に対してのざわつきなのかは全くわからないけど、とりあえず伊野尾先生の喋る前後はざわざわしていた。
ちなみに、今年から1年生の担当になった有岡先生は、伊野尾先生とほとんど同じ学校を転々としているらしく休みの日もよく一緒にいるような仲らしい。
伊野尾先生の休日の過ごし方が全く想像がつかないから少し気になった。
また伊野尾先生に聞いてみようっと。