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保健室の慧先生。

第1章 始業式の日


さて、私は今なぜベッドの上に座っているのか。


理由は簡単。

結局クラス発表を見に行くことが出来なかったからだ。


ということで保健室で、今日会ったばかりの先生と2人きりという気まずすぎる状況になっております。


「そういえば、もなさん担任の先生も知らないんだっけ?」

「あ、はい。クラス発表自体見てないんで...」

「へえ、じゃあ朝の学活始まるまでに一緒に見に行こっか」

伊野尾先生はそう言って、私の隣に腰掛けた。


やっぱり、綺麗な顔をしてる。

唇のぷるぷるだし肌も綺麗で目元もぱっちりで、神様はどうしてこうも不平等なんだろう。



「もなさん?」

先生の問いかけに答えずまた見とれてしまっていたから、伊野尾先生が不思議そうな顔をしていた。


「あ、はい!行きます」

慌てて返事をすると、伊野尾先生はまた柔らかく微笑んだ。


「じゃあ、行く?そろそろ人も少なくなってるだろうし...」


そう言って伊野尾先生は自らの腕に巻いてある腕時計を見た。

手が、ものすごく綺麗だった。



「2年3組で、担任が薮先生...」

「ん、OK?じゃあ...」

「あ、ちょっと待ってください」


同じクラスのクラスメイトの名簿をちゃんと確認すると、そこには『山田 涼介』という名前が書いてあった。

彼が、去年同じクラスだった山田くんなのだろうか。



「どうしたの?」

「いえ、なんでも.....じゃあ私、教室行きます。ありがとうございました」


小さくお辞儀をして、その場を去ろうとすると、腕を掴まれる。

一瞬、力が強くて怖かったけど、すぐにそれは弱くなった。


「一緒に行こ?俺、保健室居ても暇だから」

「暇って...」

「ダメ...?」


優しい言い方にも関わらず、有無を言わせないその物言いと、保健室の先生ということもありこれからお世話になるかもしれないから、下手に拒否することも出来ず、結局一緒に教室まで行くことになった。
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