第20章 新しい生活と新たな敵
元、総隊長である山本元柳斎重國の隠居する家に来ている#レン#と恋次。
「阿散井、そのように固くならんでもよい。本来は作法に従って茶を立てるものじゃが、可愛い孫娘の婿との茶を楽しみたいだけじゃからの。」
元柳斎のそう言った顔は孫をみる優しいおじいちゃんという感じだった。
恋次はそう言われても正座から楽な姿勢にすることは出来ずにいる。
しかし、#レン#は…胡座をかいてくつろいでいる。
元柳斎はそんな恋次にはそれ以上は何も言わずに優しく微笑んだ。
「#レン#がここに来た理由は分かっておる。父親を1人の男に戻してやる為じゃろう?」
『バレてしまうんやね…じいちゃんには…』
レンは悲しそう言った。
「あやつは…季南がこの世を去ったあと…酷く落ち込んでおったからのぉ…しかし…幼い我が子を守ろうと必死じゃった…少し、昔話をしようかのぉ…」
季南がこの世を去った数日後…
疎遠となっていた季南の親戚が葬式にやってきた。
護挺十三隊も呼ばれていた為、そのやり取りを見ていた。
親戚達は口々に言った。
「穢らわしい…何処ぞの男とも知れぬ血を由緒ある我が安倍家に…」
「だから、言ったのだ!こんな薄汚れた血の流れる小童などとの結婚なんぞ認めぬと!!」
「ご先祖さまに似てはいるが…全くと言って似てもいない穢らわしい霊圧だ!!」
幼いレンは初めて会う親戚に色々と言われて言い返そうとした。
それをギンは無言で止めて深々と頭を下げて言った。
「すいませんでした。大切な跡取りであるお嬢さんをこんなボクみたいなガキが不幸にしてしまいました…謝ったってどうしようもない事は分かってます。でも…でも…ボクの事はどんなに悪く言ってもいいです。どんなに悪者扱いしてくれたって構いません。季南とレンのことは…悪く言わんで下さい…」