第19章 それぞれの幸せの形
「さてと、乱菊…ついておいで。」
ギンはそう言っていつの間にか乱菊の目の前にいて乱菊に手を差し伸べていた。
乱菊はその手をとった。
「わぁ!なっ、何すんのよ!」
ギンの手をとったと思ったら乱菊はギンにお姫様抱っこをされていた。
「ボクの瞬歩に乱菊がついて来られへんやろな~と思ってな?ということで着いたで?」
「え?速い…ここって…」
「そうや…季南が眠るとこや。」
ギンはそう言ってどこからか出したお酒を持って墓石の前に座った。
「季南がな…もし、自分に何かあったら…乱菊とやったらくっ付いてもええって言っとったんや…そん時は乱菊を墓の前に連れてきてお酒飲みにきたらええ…って…ボク…そんなん…いややから…言わんといて…って言うたのに…その…次の日に…」
ギンの瞳は開かれ…涙が流れていた…
乱菊はそんなギンを優しく抱きしめた。
「ゴメンな…乱菊…ホントは…まだ…季南のこと…忘れられたわけやない…」
ギンは涙声で声をかける絞り出すように言った。
「分かってる…レンがいたから強がってたんでしょ?あの子の事だから分かっててその場を離れたんじゃないの?アンタが泣けないだろうって…ホントにそういうとこは季南さんにそっくり…ガサツに見えてそういう気遣いが出来る季南さんみたいにあたしも成りたかった…季南さんの代わりにはなれないけど…幼馴染としてレンのお母さんみたいな存在としてギンのそばにいたいの…今はいっぱい泣いておきなさい…」
「乱菊…ゴメンな…ありがとう…」
ギンはそう言って乱菊に抱きつきながら泣いた。
そして…泣き疲れたかのように眠った。
「子供みたい…季南さん…あなたのように強がりばかりの2人を守れるか分からないけど頑張ります…」
乱菊は空に向かってそう呟いた。