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【GIOGIO】Breve modifica

第3章 vagheggiare【ブチャラティ】




「テメェ〜〜ッ!今日という今日は許さねえ!ぶっ殺してやるッ!この野郎ォオーーーッ!!」

「やかましいッ!やってみろ!このボケがッ!!!」

響く怒号の主達はもはや見ずとも分かる。
やれやれ、またか。毎度毎回よく飽きないものだ。こう何度も喧嘩が続いてはため息も数え切れない。


「フーゴ!ナランチャ!いい加減にしなさいったら!」

「チヒロ、今は何を言っても無駄ですよ。しばらく放っておきましょう」

続いて聞こえる諌める声と、やや無関心に冷めた声。
どうやらうちのチームは今日も平常運転らしい。小さく苦笑して、彼はドアノブに手をかけた。


「あ!ブチャラティ!」

「ブチャラティ!お帰りなさい」

「よう、思ったより早かったな」


それぞれに出迎えの言葉を口にする部下達。

扉を開けた彼を待つチームのメンバーは、あれから6名に増えていた。
前述の通りなかなかに一癖も二癖もある者ばかりだが、全員申し分ない実力の持ち主だ。


「ああ。例の不審な男だが、結局スタンド使いではなかった。留置所に引き渡しておいたから、後は上がどうとでもするだろう」

軽く報告をしつつ椅子に腰掛けると、チヒロが手元にそっとコーヒーを置いた。

「ということは、詰まるところ私達が動く案件でもなかったってことね。とにかくケガが無くて良かったわ」

「ありがとうチヒロ。いつも気が利くな」


「チヒロはよォ、ほんっとブチャラティの事好きだよなあ〜。いつもケガしねえかどうか心配してるし、今も待ってましたって感じにコーヒー出したりさあ」

上司が帰ってくるなりあっさり喧嘩を辞めてソファに寝転がっていたナランチャが、2人を興味深げに眺めている。


実際、彼女がブチャラティを好きなのはチーム全員が把握している事実だ。

───しかし、彼には手放しで喜べない理由がある。



「当たり前じゃない。ブチャラティは私の恩人だもの」



満面の笑みでそう言ったチヒロに、思わず複雑な眼差しを送る。
そう、彼と彼女の想いは、決定的に食い違っているのだ。



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