第2章 Dolce【ミスタ】
「ウメーーッ!」
「アリガトーーー!チヒロ!」
「チヒロー!アリガトー!」
よほど嬉しかったのか、No.2が彼女の空いた手の指に抱きついた。それをキッカケに、残りの5人もわらわらとチヒロの掌や、頰にハグをする。
「お…おい!やめねーか!」
今のやりとりや仕草に内心見惚れていた自分の本心をモロに反映したかのような行動で、さすがに恥ずかしくなった。
「ふふふ、いいのよミスタ。私も嬉しいもの」
にこにこしながらスタンド達を指先で撫でるチヒロ。その手つきはとても優しい。
なんか、頬っぺたの辺りがくすぐったいような…
直接撫でられてるのは自分じゃあないのに、どうにも照れくさい。
「ミスタ、もうスタンドの名前は決めたのか?」
様子を見守っていたブチャラティに聞かれ、オレは答えた。
「ああ…"セックス・ピストルズ"だ。」
「そう…これからよろしくね、ピストルズ」
口々にヨロシクと騒ぎ立てるスタンド達を微笑んで見つめる彼女。
ああ、さっきから心臓がうるせえ。しっかりしろよ、オレ。
平気なふりして皆の会話に加わりながら、チヒロを横目に見る。
ま……こういうのもアリだよな?
今度、今回の礼にってカフェにでも誘おう。
…それまでにコイツらをしっかりコントロールできるようにならなくっちゃあな。
昼下がりのリストランテ。当面の目標を立てたオレは、運ばれてきたエスプレッソに手を伸ばした。
END