第7章 ~徳川家康~ end.
「きょうこは俺達に深く関わろうとしてこない。きっとそれには理由がある。
これは俺の憶測だか……俺達がこの日ノ本を大きく変える、張本人だ」
俺は黙って信長様の話を聞く。
「だがな、家康。何事にも意味はあるのだ。お前が過去に捕らわれの身になったことも、きょうこが今のこの時代に来たことも。全てにだ」
そうか……
だから、過去に捕らわれた俺と、太陽のように見えたのに……何かを引きずっているきょうこ。
似たような俺達ならきっと互いの存在を肯定しあえる。
すっと、その考えが俺の中に落ちてきた。
この時ほど信長様の言葉を、有り難いと思ったことはない。
きょうこは嫌がるかな。本当の俺を曝け出したら。
そんな想いすら、杞憂だった。
きょうこはどんな俺も……そう過去の俺も、今この時を生きる俺も、全て愛してくれる。
ただきょうこには、未来の俺を愛する姿が目に浮かばないようだった。
常に俺から一歩離れ、距離を保とうとする。
だけど俺は、離さない。
きょうこが全ての俺を愛してくれたように、
俺もきょうこの全てを愛すよ。
過去も今も未来も……
俺は俺の人生を、
きょうこ
あんたと全うするんだ。
今、俺の腕の中で小さく寝息をたてるきょうこ。
大丈夫。
俺は全てのあんたが好きなんだ。
それが俺の原動力になる。
この日ノ本を未来に繋げるための。
そして俺も目を閉じる。
俺達二人に、新しい朝が来る。
そう。毎日だ。
その毎日が……きょうこ……
あんたのいた“未来”に繋がるんだ……
家康ルート 終