第5章 ~石田三成~ end. 【後編】
つわりが長引いていた。
大抵は、お腹が目立ってくる頃には落ち着いてくるものみたいなんだけど……
体調の悪い日が続く。
だけど、ある晴れた日。
私の体調も良くて、二人縁側に座って空を眺めていた。
私は大きくなったお腹を擦りながら、三成くんに聞いた。
「ねぇ、三成くん?」
「はい、なんですか?きょうこ様」
三成くんは、お腹を擦っていない方の手をずっと握ってくれている。
「三成くんは、どっちがいい?男の子?女の子?」
「そうですね……母子共に元気であれば、私はどちらでも……
あ!ですが、そうですね、きょうこ様によく似た、愛らしい女の子がいいかも知れませんね」
「ええっ!?そう?私は、三成くんにそっくりな子がいいなーーーきっと天使みたいに可愛いよ?」
「てんし……?」
あ、この時代にはそんなのないか……うーーん、なんって言っていいのかなぁー天女?なんか違うなぁ……
「とにかくっ!可愛いの!可愛い女の子!!!それでね……今度は……」
言葉に詰まった。
言葉に詰まった私の顔を、三成くんは手を握りしめ直して、覗きこんできた。
「きょうこ様……?」
私は、ふふ……と笑うと
「今度はね、本当に好きな人と添い遂げて欲しいんだ……想いを諦めないですむように……」
「…………それは、きょうこ様の事ですか?」
三成くんが悲しそうな顔で聞いてきた!
「ええっ!?まさかっ!私の想いは、ただの淡い恋心なだけだったし、今がね本当に幸せなの!」
そう。
私は男同士だからと、ずっと想い続けていたのに、その想いを伝えることすら出来なかった三成くんのことを……
本当は……ずっと……
気の毒に思っていた……
だから、産まれてくる子には……
好きな男性に好き!と言えるように……そして、その想いが遂げれるように……といつも祈っていたんだ……