第5章 ~石田三成~ end. 【後編】
だから私は、すぐに妊娠した。
もう周りの浮かれ具合と言ったら、見てるこっちが可笑しいぐらいに凄かった!
あの信長様でさえ、嬉しそうに
まだ大きくなっていない私のお腹を、目を細めて撫でては
「やはり俺の目に狂いはなかったな。貴様達なら、必ず仲睦まじく過ごせると確信していたぞ」
なんて言ってくれるんだもん。
秀吉さんは、嫁いでからは落ち着いていた、私への世話焼きがまた再燃している。しかも、そのパワーは倍じゃきかないくらいに!
だけど、次第に私の体調は崩れ出す。
いわゆる“つわり”がキツかったのだ。
そうなると、今度は家康と政宗の出番で、二人があれこれ世話を焼いてくれる。
そんな状況を三成くんはいつも黙ってニコニコと見つめてくれていた。
「やはりきょうこ様は、皆様に愛されていますね。産まれてくる子は、幸せに違いありませんね」
なんて、寝たきり状態の私の横に添い寝しては、言ってくれる。
いつも三成くんは、私の手を握ったりお腹を擦ったり、つわりで吐くときなんかは、背中もずっと擦ってくれていた。
側にいるときは、必ず、指一本でも私に触れてくれている。
こんな素敵な旦那様になってくれるとは、夢にも思っていなかった。
本当に優しい人……