第4章 ~石田三成~ end. 【前編】
で……
なんで……
三成くんなのっっっ!?
「きょうこ様、さぁどうぞ……」
そう言って、徳利を傾けてくれる。
「あ……どうも……三成くんは、呑まないの……?」
「いえ……私は……その……」
三成くんが、チラリと横の襖を見た。
信長様に告げられた結婚相手。
あれ、朝の話だったんたけど……
まさかその日の夜に、セッティングしてるとは……
さすが織田信長。仕事が早い!
って、そんなバカな事を考えてしまったけど……
そう。三成くんがさっきチラリと見た襖の奥には……きっちりと一組の褥が用意されている。
部屋の外には、数人の家臣もいる。
きっちり“コト”が終わるまで、この部屋を出ることは出来なさそうだ……
「……呑んだ方がいいんじゃないの?」
私は三成くんに声をかける。
だって……
「いえ……私は呑むとすぐに眠く……そう、眠くなってしまうので……」
……あー勃たなくなるんだな……まぁ、いるよね、そんな人も……
でも、これ……呑まずに出来るの三成くん……
だって、三成くんって……
「いいの?私で」
ずっと下を向いていた三成くんが、顔を上げた。
そして、凄く……切なそうな顔をして……でも、笑いながら……
「はい。もちろんです」
って……その顔を見る方が泣けてくるわっ!!!