第3章 ~豊臣秀吉~ end.
「きょうこ、城下に行ってくれないか?」
「お使い?」
「金米糖だ」
「ふふ。また?」
「あぁ。俺も用があって出掛ける。店まで一緒に行こう」
「うん!じゃあ出掛ける用意してくるね」
「あぁ、そこで待ってる」
そう声をかけてくれたのは秀吉さん。私はこの戦国時代に来てからずっと妹のように優しく接してくれる秀吉さんに、いつの間にか惹かれて“妹扱い”じゃ満足出来なくなってきている。
あっ、そうだ……
現代から持ってきた、と言うか持っていたバッグの中に……うん。いいよね、これ。
私は簡単に支度を整え秀吉さんの所に向かった。
「お待たせ、秀吉さん」
秀吉さんは、城門の近くで家臣の人達と話をしていた。私が声をかけるとみんなが笑顔でふりむいた。そして
ハッと
その場にいた皆が、息を飲むのがわかった。
でも得意の気付かないフリをして、小首をかしげて秀吉さんに話しかける。
「お待たせ?行こう」
「あ、あぁ……きょうこ……その口……」
「あ!え……っと……変かな……?」
少しはにかんだように、上目使いで秀吉さんを見つめた。
「いや、そんな綺麗な色は初めて見た。すごく、、、その……きょうこに似合っている」
そう、私は現代から持ってきたバッグに入っていた、この時代にはないような色の口紅を塗って秀吉さんの前に現れたのだ。