蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第612章 追憶のキミ2-5
翔side
涙が出そうな位嬉しかった
大好きなお城を再び見れた幸せ
本丸のあった当たりで話をしていた
なんかね、みんなで凄く面白い話をしているの。それを聞きながら、 俺は幸せに浸っていたんだ
和也「確かここには、北の対の屋があったんだ……翔様の部屋……懐かしいな。北の対の屋とか、屋根裏部屋で『翔若様、昨日の続きから話ししますね』って話をしたんだ」
和也さん……
和也side
あの日天守閣最上階の階段より、転落させられた翔若様
翔若様が生きておられるだけで…… 私はもう。 そう思ったんだよな
今の翔ちゃんと同じ。あの日の怪我が元で、左足を痛め、引きずって歩く事を余儀なくされてさ
最大の症状として、前日の出来事を、朝になると忘れておしまいになるようになった翔若様
前日の出来事を少しずつ伝えると、起こった事として認識されるから、根気強く伝えさせて頂いて
翔『和也。ソナタの作る話はとても面白いな』
和也『翔若様が、私の作る話を面白いと、褒めて下さるので作るのが楽しいんです』
四六時中、翔若様のお近くにお仕えし、日常の生活のお手伝いを許された事が、何よりの幸せで……
俺は、北の対の屋のあった当たりの。今は建物も無くなった広大な綺麗な芝生の敷地を見つめていた
──
智「ここ、オイラの作業小屋があった場所だ。左官の仕事。庭園を整える庭師の仕事をしてたんだよな。懐かしいな……」
智さん……
智side
智『ハハハ。翔若君、それではデコボコの壁が出来上がりますよ』
翔『私は職人になる才能は無いようだ』
あの日、天守閣最上階の階段より転落させられた翔若君
翔若君様が生きておられるだけで…… 私はもう。 そう思ったんだよな
左官の仕事、庭園を整える庭師の仕事等、私に合った仕事を与えて頂いて
翔若君が
翔『漆喰の壁塗りをしてみたい』
と言うので、道具等を置いている小屋で、練習用の板に、漆喰を塗る作業をして頂いたたをだけど……
中々の不器用さでさ
こんな風に、穏やかな時間を過ごすのが、何よりの幸せで
オイラは、北の対の屋の近くにあった。今は作業小屋の建物も無くなった敷地を見つめていた