蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第571章 エースの涙2-9
翌週の土曜日
某喫茶店 午前中
「すみません。休日にお呼び立てして…」
翔「いえ…仕事事態は休みですがチームの練習がありますので、 気持ち的には活動モードですから」
今、 会っているのは先週の土曜日
『相手チームのバッターボックスの選手の形態模写 ?足の角度とか正確に捉えてキャッチャーに伝えてる?』
と、おっしゃられた小6の男の子の父親の柳瀬(やなせ)さんで
きっと、蒼空(そら)くんの事で、話があるんだろうなって思っていたんだ
柳瀬「翔さんは、お幾つなんですか?」
翔「へ?」
思いがけないセリフに、ツイまぬけな返事しちゃったよ
柳瀬「すみません。唐突に」
翔「いえ…22歳です。今年23の年なんですが早生まれなので」
柳瀬「若いなぁ。羨ましい」
翔「若いなぁって…柳瀬さんもお若く見えますよね」
柳瀬「本当ですか?嬉しいな。僕は、35でおじさんですよ」
マッタリした会話だなぁ
柳瀬「翔さんは、休みの日は何をされているんですか?」
翔「…野球チームの子供達のデータをまとめたり、トレーニングジムの仕事のトレーニングメニューを考えたり…ですかね」
柳瀬「凄いなぁ。ご趣味は?」
てっきり、蒼空くんの事で相談があるんだって。思い込んでいた部分もあったけどさ…
柳瀬さんは、俺の話ばかりを聞いて来て…
柳瀬「翔さんは、彼女さんはいらっしゃいますよね?こんな素敵な方だ。聞くだけ野暮ですね」
翔「ハハハ…」
自己完結されてるし。笑って誤魔化して
何で俺の事ばっか…
翔「柳瀬さん、何で俺の話…すみません。蒼空くんの事で話がおありになると思っていたから…」
柳瀬「しがないシングルファーザーが久しぶりに…魅力的な翔さんに心トキメイタ…ってところでしょうか?」
翔(…)
返事を返すでもなく
恋人の存在を伝えるでなく
答えを求めるのでなく
恋人の有無を聞いて来るでなく
柳瀬「帰りましょうか?」
と言われるまま別れて…
午後の野球の練習の時間。他の親御さん達と話しながら見ている柳瀬さん…
別に、答えは求めてないんだな…
喫茶店での様子もそんな感じだったし、だから俺も気にしない事にしたんだ