蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第313章 涼やかな風.美しき優しい華(花)たちへ8
PM 19:00
-調理実習室 -
(さすがにもう来ないかな…)
翔「帰ろうかな 」
ザワザワ
(ん?)
-コンコン-
翔「はい?」
ガラ
翔「二宮?大野?どうした?」
智.和也 「大野、二宮入りまーす」
和也.智side
翔センセ… 動揺してんのが丸わかりだよ?
智「翔センセがさ、オイラ達に想像力を働かせなさい。っていうヒントをね?色々くれたから」
和也「確かめたい事を、確かめなければ、いつかきっと後悔すると思ってさ。だって翔センセが苦しそうなのに、それを見過ごすなんて… 出来ないでしょ?」
翔「手に持ってるのは?実習の時、時間が余ったと称して、最後に作ってた物か?」
(1カット分の苺のショートケーキ…)
和也「そうですよ?翔センセが、葛藤しながらも、俺達にこれをこのまま作っても良いし…?」
智「…これを作る前に、何か感じる事は無いか?って。こんな事は許されるはず無いんだって…?」
(表情してたでしょ? )
智「翔センセ、さっき、頓田先生に『なぜ資料の通りに生徒達に作らせなかった?って言われてたじゃん?」
和也「実習の少し前の授業で、翔センセの手作りの資料頂いてたのに、昨日又さ… 一箇所だけおかしなトコがあったでしょ?」
智.和也「このまま作ったら… 絶対に違う味のケーキが出来るってそう思って」
翔side
(何もかもお見通しか…)
翔「二宮も大野も、きっちりと、勉強しているのが分かる。 ほんの数gramで全く違う物が出来てしまう、お菓子の世界だ。それをきちんと、 把握して。人の表情を見て、自分の感覚を研ぎ澄ませて。様々な事に疑問 持つ事の出来る二人は … パティシエという仕事には合ってると思うよ?」