蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第212章 ずっといっしょ…10
潤side
潤夏『潤。ここに将来の為に貯めたお金…… 通帳がここで。色んな手続き役所関係の書類とかはここで…… 分かり易いようにノートにまとめてみたから。いざという時……』
潤『縁起悪い事言ってんじゃねぇよ!』
……母さん事ある毎に同じ事ばっか言うからさ
んな事になるわけないじゃん! なって欲しく無い! 聞きたくない! もし現実になったらどうすんだよ?
って俺思っちゃって……
母さんの話まともに聞いた事が無かった……
中学生の俺が、どんなに突っ張ってそんな金使わなくたって。なんてのは土台無理で……
それに、じいちゃん、ばあちゃん…… 伯母さんが
『このお金で何でも好きな物買いなさい』
って毎月少しずつ出してくれたお金。俺は素直に受け取ろうって思ったんだ
中学、後半年たったけど。事故の事でなんやかんや言われるのが嫌だったから、じいちゃんと、ばあちゃんのいる田舎の児童養護施設に入って。高校に入学して。俺、高校でも一人静かに過ごそうと思ってたんだよ。仲間なんかいらないとか天の邪鬼な事さ
『やべ。教科書忘れちった。ねぇ? 教科書見せてよ』
クラスメイト。たまたま隣の席になった一人の少年が話しかけてきて
今みたいに『ちった』とか。ちょっと変わった日本語を使うやつで
今日みたいに、これから何かしら話し掛けてくんのか? 面倒くせぇ
とか思ってたんだけど…… 隣の席だから? 必然的にお昼とか一緒に食べるようになって。でも、そいつ話もしないしさ
ホワっとした雰囲気で。俺もなんか居心地良いなとか思っちゃって…… 結局高校3年間、何やかやつるんでた
高校卒業してそいつ、都会の大学に行ったから会う事も無くなって
念願の救急救命士になる為、専門学校に入って
早く働いて、じいちゃん、ばあちゃん。おばさんに借りたお金返したくて。 報告した時に
『そのお金は貸したしたんじゃ無い』
傷ついた顔でそう言われて。俺本当に馬鹿な事言ったと思って……
潤『ごめんなさい』
って謝って。でも働き始めたら少しずつでも 反対に俺の方が…… 違う形ででも何か恩返し出来ればって…… 思ったんだ