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鏡面【ONE PIECE】

第15章 背中を追うこと、隣に立つこと


「オヤジはおれ達に生き場所をくれたんだ!! お前にオヤジの偉大さの何がわかる!!」
「人間は正しくなけりゃあ生きる価値なし!! お前ら海賊に生き場所はいらん!! 【白ひげ】は敗北者として死ぬ!!! ゴミ山の大将にゃあお誂え向きじゃろうがァ!!!」
「【白ひげ】はこの時代を作った大海賊だ!! この時代の名が!! 【白ひげ】だァァ!!!!」
 ついに衝突を始めた二人だったが、悪魔の実の能力上、上位互換である赤犬を前にしてエースは手を焼かれて大きく後退する。そんな彼を前にして赤犬は宣言するように声を張る。
「【海賊王】G・ロジャー【革命家】ドラゴン! この二人の息子が義兄弟とは恐れ入ったわい……貴様らの血筋はすでに”大罪”だ!! 誰を取り逃がそうが、貴様ら兄弟だけは絶対に逃さん!!」
 そう言って狙いを既に限界近いルフィに定める赤犬。それを見たエースは……迷わずルフィの前に壁として立ち塞がった。
 エースの腹を貫く赤犬の拳。その光景を前にして全員が目を見開いた。
「エースがやられた!!! 赤犬を止めろォォ!!!」
 更にトドメをさそうと拳を振りかざす赤犬を止めるべく、ジンベエが前に出る。既に死ぬ腹づもりを決めているジンベエと、ビスタ、マルコが赤犬に攻撃を仕掛けた。
 そんな彼らの背後ではルフィに寄りかかったエースが最後の別れを告げようとしていた。走ってきた船医やミレイの治療をもう無理だと言って拒むエースの目は、どこまでも静かだった。
「約束したじゃねェかよ!!! お前絶対死なねェって……言ったじゃねェかよ、エース!!」
 そう縋るように叫ぶルフィを前にエースは昔を思い出しながら、なんとか言葉を紡ぐ。
「……そうだな……サボの件と……お前みてェな世話の焼ける弟がいなきゃあ、おれは……生きようとも思わなかった……誰もそれを望まねェんだ。仕方ねェ……!!」
 かつて誰にも望まれなかった過去を思い出して……しかし、その記憶はサポを含めた三人の兄弟と山賊達との生活に少しずつ上塗りされていく。
「そうだ……お前、いつか……ダダンに会ったら……よろしく言っといてくれよ。なんだか……死ぬとわかったら、あんなやつでも懐かしい……」
「!!」
「心残りは……一つある。お前の……夢の果てを見れねェことだ……! だけどお前なら必ずやれる! おれの弟だ……!」
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