第15章 背中を追うこと、隣に立つこと
「四人の侵入を許したぞ!」
「能力者は包囲壁を越えてくるぞ!!」
包囲壁内に侵入した四人に集中していた海軍の隙をつくように、海底に仕込んでいた最後の船を使い中の海賊達も湾内から侵入を果たす。一難を乗り越えて士気の高まった海賊達の中で、再び攻撃を受けたオーズは静かに地に臥した。
それを見た白ひげは、広場に向けて薙刀を大きく振りかぶる。白ひげの動きを察したフレイアとマルコは大きく空に飛び上がった。
「フレイア、無茶すんなよい」
「分かってる!」
露払いを終えた広場で海賊と海軍が再びぶつかり合う。数が圧倒的に多い海軍の兵士たちを減らすため、白ひげが再び薙刀を構えた瞬間、青雉が前に出た。
「【アイスBALL】」
青雉の攻撃で凍ったように見えた白ひげだったが、すぐに氷が砕け散り、白ひげは薙刀の刃を青雉に突き刺す。寸前のところで武装色でガードした青雉が至近距離で攻撃しようとしたところ、横からジョズが当て身を喰らわせた。
「オヤジ、先へ」
「ああ」
白ひげが戦線に加わる中、ルフィは前に飛び出していた。しかし中将や大将達に止められ、背後に大きく蹴り飛ばされる。それを受け止めた白ひげは厳しい顔でルフィを見た。
「コイツはもう充分やった。手当を」
そう言って隣にいた部下にルフィを渡す白ひげだったが、ルフィ本人は治療を拒み、止めようとした海賊に掴みかかる。
「エースはおれの、世界でたった一人の兄弟なんだぞ!!!」
そう叫びながらも一歩踏み出したところで膝をつき、倒れるルフィ。明らかに気持ちに体が追いついていない。
「ほざくだけの威勢の塊……! 若く無様……! そういうバカは好きだぜ」
そう言い残し、白ひげは赤犬と交戦を始めた。広場の中では将校、七武海、白ひげ海賊団の隊長たちが激しい戦闘を繰り広げ続ける。そんな中、ひとり冷静に処刑台に向けて飛び上がったマルコを拳骨が襲った。
「とうとう出てきた……! 伝説の海兵が……!」
「ガープ……!」
「ここを通りたきゃあ……わしを殺していけい!! ガキ共!!」
堂々と叫ぶガープを見て海軍の士気が跳ね上がった。しかし、目的まであと一歩まで迫っている海賊達とて負けてはいない。
均衡を破ったのは……激しく赤犬とぶつかり合っていた白ひげだった。胸を押さえて吐血した白ひげに、マルコをはじめとした隊長達は動揺を露わにする。