第19章 月花
「ああっ!」
自分の中を押し広げて入ってくる異物。でもそれは、愛しき存在。
快感に耐えられなくて腕を折り曲げる。むせかえるような花の香りが鼻をくすぐる。
ゆっくりと出し入れされるそのリズム全てが、さえりを快感の頂点へと誘う。
ああ、イきそう、と思った直後、光秀が動きを止めた。
「いや、いや、光秀様、止めない、で」
自ら動きそうになる腰を光秀が押さえつける。奥に当たって気持ちいいのに、もどかしい。
「ヒクヒクしているぞ……さえり。絞り取られそうだ」
「お願い、光秀様、動いて、イかせて……」
だが光秀は笑うばかり。さえりがイヤイヤと首を横に振る。
光秀は少し動いては暫く止め、動いては止めを何度も繰り返す。イきそうなのにイく事ができない。
気が、狂いそうだった。
「やあぁ、おかしくなる!」
愛液が、溢れて止まらない。身体中が快感の頂点を求めてゾクゾクと震える。
「良いぞ、もっと乱れろ。俺の為に。俺だけの為に」
光秀が急に腰の動きを速めた。
「ああ、あああっ、あああーーっ」
もう声にさえならない。獣のように快楽を貪る。何度も身体が痙攣し、何度も何度もイかされる。
「も、だめぇーー」
目の端に一瞬、満月と、光秀の意地悪な笑みを捉えた。
ああ、満足、してくれていますか……
意識が遠のいていく感じがした。