第11章 嫉妬
暫くして光秀は顔を上げると、さえりに優しく口づけた。
そのままさえりと共に後ろに倒れこみ、草の上に寝転ぶ。
「きゃっ」
さえりは予想外の行動に驚いたものの、同じように草の上に寝転んだ。
空には満天の星が瞬く。
光秀はさえりの手をとり、指を絡めた。
「ちゃんと、守る。お前を」
あの日の誓いを改めて口にする。
次は間違えない。
二度と傷つけるような事はしない。
「私も、守ります。貴方の心を」
ふっ、と光秀は笑った。
いつだって、守られている。
自分はさえりのこういう強い所に惚れたのだと、改めて思う。
「敵わないな」
「えっ」
「俺はお前に翻弄されてばかりだ」
さえりが怪訝そうな顔をする。
「冗談ですよね……?」
「本当だぞ」
光秀は絡めた手を引き寄せ、さえりの手の甲に口づけた。それだけでさえりは頬を染める。
「お前の赤い顔で夜道が照らせそうだな」
「そういう所です……!」
どこが翻弄されてばかりですか、とブツブツ文句を言うさえり。
お前の全てが愛おしい。
今日はお前を抱かずに、ただ抱きしめて眠りたい。
そう強く思う、光秀だった。