第1章 或る春の日
『妹』に対する僕の最初の感情は、無関心だ。
若しくは憐れみのようなものだったかもしれない。
姫家はもうじき壊滅するはずで、余程のことがない限り『妹』は一歳を迎えることがないということも理由の1つだ。
そうでなくても、伝説の天才軍師・紅門筆頭姫家"鳳麟"である僕は、性悪一族の中でも特にその傾向が強くて、血の繋がりなんてものに興味はない。
弟か妹が産まれると聞いた時も、「ふーん」という、ひと言のみ。
だから、『妹』が産まれたとき僕が会いに行った理由は「何となく」に他ならない。
必然だったのかもしれない、と今になって思う。