第10章 幻影少女
「分かってるって。そろそろ解放してもらっていいかな、警部補。僕らも仕事がしたい」
「いいか、次はねぇぞ。俺の名を使うなよ?」
「はいはい」
「 ……『ハイ』を2回言うヤツは特に信用出来ねぇ。次俺の名を使っても助けねぇからな!」
スティーブンの顔に人差し指を向けたまま、ダニエルはその場から立ち去って行った。
「さて、どうするクラウス。ミス・アメリアの謎は深まるばかりだ」
「……人海戦術で街中を捜索する。何としても、彼女を見つけ出す」
「了解」
クラウスの長い1日が、ようやく夕暮れを迎えようとしていた。