第21章 それは甘くかぐわしい香り
「何故、その“リアーナ”が教会関係者だと?」
僕の問いに、クラウスは静かに答えた。
「うむ──どうやら教会にいた子供達の体は、催淫効果のある香りが発するように造られているようなのだ。本人が興奮状態になれば自然と発生するものらしい」
「なるほどね。僕の鼻が役に立ったわけだ」
「うむ」
クラウスが大きく頷いた。
……ん?
クラウス、君もその“香り”を纏っているという事は……
えぇ?
もしかして、君……君も、あの少女と……??!
「どうしたのかね、スティーブン。おかしな顔をしているようだが」
「えっ? いや、いやいやいや、何でもないんだ。はは、そう、何でもないんだ。早速そのリアーナの事を探るとしよう」
「ああ、頼んだ」
危ない、危ない。
クラウスはきっと気が付いてない。
自分が随分と大胆な告白をしてしまったって事に。
ツッコミを入れたいのは山々だ。
だが今は“リアーナ”の事が先決だと自分に言い聞かせて、端末にチェインの番号を表示させた。
僅かな手掛かりからでも、必ず大元に辿り着いてやる。
いまだ正体の見えない相手の尻尾を掴みかけたようで、胸がざわついて仕方なかった。