第19章 熱にうかされたふたり
けれどすぐに熱っぽい唇が首筋にあてられた。
背中をなぞっていた指先がゆっくりと降りていき、脇腹を通ったかと思うとおへそのあたりにやってくる。
いつの間にかクラウスさんは私の背後に回り、もう片方の手が伸びてきたと思ったら首と鎖骨の境目をなぞりだした。
両腕の中に閉じ込められる形になった私は、ただされるがままに彼の行為を受け入れた。
右手は数度鎖骨をなぞった後に、するすると静かにキャミソールの中に滑り込んできた。
「あっ……」
指先が、そっと胸の間に差し込まれ、ゆっくりと壊れ物を扱うように動く。
ためらいがちに指の腹が胸の突起に触れ、軽くこすった。
漏れる吐息を確かめながら、クラウスさんの親指と人差し指が突起をきゅっと摘まみあげる。
「んっ……クラウス、さん……」
「アメリア、こちらに触れても……?」
つつ、と左手がおへそからズボンの方へと侵入していくのが分かった。
ゾクゾクと興奮にも似た何かが体を駆け巡る。
すでに熱で十分体は熱いというのに、それ以上に体が熱くなっていく。
「…ね、がい……」
「……何と、言ったのかね?」
私の言葉を聞き返そうと、クラウスさんの耳が私の口元にぐっと近づく。
赤毛の中から顔を出しているその耳に、吐息交じりで囁いた。
「おねがい、触って」
きっと、熱のせいだ。
頭がぼうっとしてクラウスさんの事以外何も考えられないのも、こんな、ふしだらな願いを口にしてしまうのも。
きっと熱のせい。
「承知した」
言うなりクラウスさんは私の体を持ち上げ、自分の膝の上に乗せた。
ズボンの上から左の太ももに触れたクラウスさんの左手の指先は、幾度か行き先を迷ったように太ももを行ったり来たりした後、再びズボンの中に潜り込んだ。
指先が向かう先が一層熱くなる。
布越しにそうっと触れられただけで、体がビクリと反応する。
「アメリア」
耳元で囁かれたのは、ただの名前。
だけどそれだけで胸が熱くなる。
これ以上熱が上がったら、死ぬんじゃないかしら。
彼の腕の中で死ねるのならそれも幸せかもしれない。
がぶりと噛みつくようにクラウスさんの犬歯が首筋に当たった。
それと同時に彼の左手が少しずつ強く布をこすり上げ始める。
「あっ、あっ」
私の体は勝手に指先の動きに合わせるように動き始めた。