第14章 尋問の時間
─ブラッドベリ中央病院 病室─
私が病院に運び込まれた翌日、病室には朝からミスタ・クラウスを始め、男性が三人、ベッドを取り囲むように居並んでいた。
私から見て右から、ミスタ・クラウス、ミスタ・スターフェイズ、ミスタ・ロウの順に椅子に座っている。
ミスタ・ロウはヘルサレムズ・ロット警察の刑事さんだそうだ。
彼の左目は前髪で完全に隠れてしまっていたけれど、その代わりによく見える右目はギラリと私を鋭く見据えていた。
ミスタ・スターフェイズ同様、刑事さんも私を犯人の一人だと認識しているだろうことは、彼の目を見れば明らかだった。
この場では味方と呼べる存在はミスタ・クラウスしかいない。
けれどそのミスタ・クラウスも、どこまで私を信じてくださっているのか、まだハッキリとは分からない。
ただ一人、彼だけは、他の二人と違って私を突き刺すような目で見てはいらっしゃらなかった。
「朝早くからすまないが、君には話してもらわなければならないことが山積みだ」
ミスタ・スターフェイズの声は、言葉とは裏腹に全くすまないとは思っていらっしゃらないように聞こえた。
「長丁場になると思うが覚悟しておいてくれ」
「はい。分かっています」
彼らが知りたい事……教会の事や兄さんの事、兄さんが引き起こした事件の数々……私が知っている事は全てお話するつもりだ。
早く兄さんを止めてもらわなければ、また被害者が出てしまう。
それに、他の子供達も早く保護してもらわなければ。
私を射貫くように見つめる大人達の目に屈しないよう、目に力をこめてミスタ・スターフェイズと目を合わせた。
「…ではまず、君と一緒にいた者達について話してくれ。彼らは何者で、今どこにいる? どんな力を持っている? そして目的はなんだ」
「……ダイナーにいたのは、私の兄のイアンと、教会にいた一人のうちの、リアです。それと、兄が操っている“幻術”を使う異界人もあの場にいたと思います」
ロウ警部補は、私の言葉を一つも書き漏らすまいと、必死に手帳に書きこんでいる。
随分とアナログな刑事さんだなぁ、なんて警部補の姿を見て思う。
「今、どこにいるか……多分、隠れ家、だと思います。けれど、幻術でその部屋は隠されています。見つけるのは難しいと」
「その点については心配に及ばない。場所はどこだ。君は知っているんだろう」