第2章 ヘルサレムズ・ロットの日常
ここ、ヘルサレムズ・ロットはかつて『ニューヨーク』と呼ばれた街だった。
数年前に起きた『大崩壊』と呼ばれる超常現象で、街の姿はすっかり変わってしまった。
といっても、建物や交通機関などは、以前のニューヨークにも存在していた見た目のものがほとんどだ。
そういった部分だけを見れば、以前の街並みと大きく変わったようには思えないかもしれない。
だが、一見しただけで以前と違うとハッキリ分かる事がある。
かつてのニューヨークはすっぽりとドーム状の霧に覆われ、人類とは全く様相の異なる異界の生物たちで溢れかえっていた。
異界の生物たちの種類は様々で、極小サイズのものから、ひとあし歩くだけでゆうに100人は踏みつぶせるほどの超巨大サイズまで存在する。
またその見た目や能力も種によって様々であった。
──外界とこの街との違いをあげだすとキリがない。
まぁ、とにかくヘルサレムズ・ロット(HL)とは、異界と人類の現世が交わる特異な街ということである。
ここ(HL)では日々あちこちで非科学的な、超常的な現象が起こり、それが『日常』とされている。
そんなヘルサレムズ・ロットにおいて、人知れず日々世界の危機を救う者たちが存在した。
秘密結社『ライブラ』
これから記されるのは、その構成員たちと彼らに関係する者たちの、ひと時の物語である。