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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第6章 ✼弟切草✼



家康は出来るだけ優しく言っているつもりだろうけど、つまりそれは謙信様が庇ってくれなければ死んでいた、という事だ。


「謙信様は…?」


震える声で問いかけると、家康はばつが悪そうな顔をして目線を私から逸らしてしまう。


「傷口があんたより深い。一応急所は外してるけど毒も回ってるかもしれない。目を覚ますかどうかは分からない」


「…っ……」


「目を覚ましたとしても何か後遺症が残るかもしれない」


傷口よりも、心の方がずっと痛かった。


「ごめんなさい……」


「謝って謙信様が目を覚ますの?」


私の問いに答えたのは家康ではない。
襖が勢いよく開かれ、声の主は私の頬を思いっきり叩いた。


「何で謙信様がこんな目に合わなきゃいけないのよ⁈貴方なんか庇うから…!貴方が死ねば良かったのよ!!!私の想いだけじゃなくて謙信様まで奪わないで!!!!!」


「お待ちください芝姫様……!」


「ちょっと!怪我人に何してんの⁈」


叩かれた頬が痛い。
けれど、こうされて当然だった。


「その綺麗なお顔で謙信様に気に入られて、守られて。それで満足?」


家康が私を守るように抱き寄せるけど、芝姫様の言葉の刃は私の胸をどんどん突き刺していく。


「謙信様を不幸にしてるのは自分だっていい加減気付いてよ!弱くて何も出来ないくせに。結局貴方も伊勢姫と変わらないのね」


「それ以上は芝姫様でもお許しすることは出来ません……!」


芝姫様が家臣の人に連れられて行ってからも、芝姫様の言葉が頭から離れなかった。




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