第4章 ✼勿忘草✼
「そういえば謙信様にプレゼントがあるんです」
「ぷれぜんと?」
「えっと…私からの贈り物です。気に入っていただけるか分からないんですけど…」
謙信様へのプレゼントとは、現代に居た時に偶然目に留まって思わず買ってしまったものだった。
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「これ……」
ふらりと立ち寄った雑貨屋で何故か目に留まってしまったのは円形の中に鶴が模(かたど)られたオシャレなピアス。
でも戦国時代はおろか現代でも男性がピアスを付けるのはあまり一般的ではない。
(うーん…でも……謙信様凄く似合いそう…)
「謙信様が付けなければ私が付ければいいし…」
結局悩んだ挙句、ピアッサーと一緒に買ってしまったのだ。
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言ってしまえば付けてる所を見たいと言うただの私の欲なのだが、謙信様は初めて見るピアスに興味を示していた。
「これは何だ?」
「耳に付ける物でピアスって言うんです。あ、私もちょうどつけてますよ」
現代の服装のままだったのを思い出し、耳を見せると謙信様は優しく私の耳に触れた。
「耳に穴を開けなくちゃいけないんですけど…飾り物を男性が付けるのは抵抗もあると思いますし無理はしなくて大丈夫です」
「お前も付けるのなら俺も付けよう」
謙信様は少し考えた後に、そう言った。
「私もですか?」
「お前から貰ったものなのだから断る理由も無い。だがこれは俺よりお前の方が似合う」