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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第4章 ✼勿忘草✼



「酒でも飲むか」


「え?」


外を見る限りもう夜中。周りに足音すら聞こえない。


「久しぶりにお前と酒を飲みたくなっただけだ」


謙信様はおもむろにお酒を取り出すと、私の手を取って縁側へと連れて行ってくれた。


「お前は覚えていないかもしれないが、いつの日か美酒を呑もうと約束していたな」


(謙信様…覚えてくれてたんだ…)


「私も、覚えています」


「結局あの酒はお前が隣に居ないと飲む気も起きなかった」


謙信様は二つの徳利にお酒を注ぐと、その一つを私に差し出した。


(これ…もしかしてあの時に約束していたお酒…?)


徳利に口を付けると、私でも飲みやすい優しい香りが口に広がった。


「美味しい…私でも飲みやすいです」


「確かに美味いな。きっとお前と飲んでいるからだろう」


「この時代で見る月も久しぶりです」


都会で見るよりもずっと綺麗。
何を考えるでもなく、ただぼーっと月を眺めていると、謙信様が私の頭を引き寄せた。


「結。お前は色々と一人で抱え込みすぎだ。自分を責めるな」


「…っ!…そんな事、ありません…」


「俺に嘘が付けると思ったか?」


「……謙信様には全てお見通しですね」


乾いた笑みが口から零れると、謙信様は当たり前だ、と少し満足げに言った。


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