第13章 ✼碇草✼
景持は良い男だ。これからももっと強くなる。
だが、結を渡すことだけはできない。
「んっ……」
首筋に舌を這わせると、結の口から甘い声が漏れた。
「いつもより感じているな」
「だ……って、久しぶりだから…っ……」
肌に触れるだけで、結の体はぴくっと反応する。
俺と体を重ね合わせていない間、自分でその体に触れる事も無かったのだろう。
(まあ、俺も結以外では感じないが)
着物を脱がせると、月の光に照らされて結の体が浮び上がる。
触れたい
結と恋仲になってから、その体に跡が無いことは無かったというのに、白い肌に唯一あるのはあの時の傷跡だけ。
いつだって、俺が付けた赤い跡が体中に付いていたのに。
(まるで.......誰の物でも無いようだな)
穢れを知らない天使のようだ。
初めて結を抱いた時もそう思った。その体に触れて、口付けをして、俺に染め上げるのが幸せで堪らなかった。
結の肌は冷たくて、暖かい。
唇で触れると、肌の冷たい感触が伝わってくるのに、俺の体はどんどん火照ってくる。
「寒いだろう。すまない」
「いいです.......っ.......それよりもっと、もっと跡つけてください」
俺の着物の帯を解き、はだけさせて体に吸い付いてくる結の可愛らしさといったら.............どんな言葉でも形容しがたい。
「.......姫の望みのままに」
少し着物がはだけただけで見えてしまう首筋
腕をまくればすぐに見えてしまう腕
俺しか見ることの無いであろう太もも
結が自分でも確認出来る腹
体の隅々まで、結を確かめるように跡を付けた。