第12章 ✼猩々木✼
私よりも大きなリングは、謙信様の左手薬指にぴったりだった。
「またお揃いが増えましたね」
私がプレゼントしたピアスに、謙信様から送られた指輪。
二人の物がどんどん増えていく。
「愛している」
謙信様の手が頬を包み込む。
今度は精一杯の笑顔で、謙信様に伝えた。
「愛してます、謙信様」
誓いのキスのように、優しいキスが落とされる。
「ん…っ……」
唇が離れた時、辺りが淡い光に包まれた。
「えっ……」
「離れるなよ、結」
気付けば、体が少しずつ透けていく。
「素敵なクリスマスを過ごせたようでなによりです」
いつの間にいたのか、神父さんが祭壇の前に立っていた。
「これは何だ」
「安心してください。元居た場所に戻るだけです」
「もしかして……貴方がこの時代に私たちを連れてきてくれたんですか…?」
「さあ、どうでしょう。きっと気まぐれな神様からのクリスマスプレゼントですよ。結、きっともうワームホールは出ません。もう戻ってこれません。それでもいいですね?」
「……はい。素敵なクリスマスプレゼント、ありがとうございます」
「ならよろしい」
神父さんは微笑んで、手を差し出す。
その手を取った瞬間、光が強くなり、咄嗟に目を閉じた。
謙信様の力強い腕に包まれながら、私は最後の言葉を聞いた。
「メリークリスマス。その愛を、永遠に」