第11章 ✼薺✼
§ 結Side §
「急に会おうって言うからびっくりしたよ~!もう会えないと思ってたから!ちょうど仕事終わる時間で良かった~」
「私もまた会えて嬉しい」
謙信様と別れた私は、友達が働いているカフェに来ていた。
電源を切っていたお陰で、戦国時代にいる間も何とか生きていた携帯のディスプレイに表示された日付は、私がこの時代を離れてから数えた日付とぴったりだった。
「つか彼氏は?!見せるって約束したじゃん!」
「ごめんね……今だけ別行動してて……」
「写真も見せてくれないんだから……気になってしょうがないよ」
「ごめんって……あ、もう時間だ…」
楽しい時間は過ぎるのが早い。
少しお喋りをしていただけで待ち合わせの時間になってしまった。
「あ、じゃあ待ち合わせ場所まで送るよ。もう会えないんだからそれくらい良いでしょ?」
「ありがとう」
お喋りしながら待ち合わせ場所で謙信様を待っていると、二人組の男性がこちらに近づいてきた。
「ね。お姉さん。これから時間ある?」
「……人と待ち合わせしてるので」
どう見てもこれはナンパだ。
「ちょっとだけ遊ぼうよ」
断っても断っても、諦めが悪い二人は何とか私たちを連れ出そうとする。
「あの…っ、困ります……!」
「何ならそのままホテルでもいいぜ?」
強引に手首を掴まれたその時……———
「俺の女に触るな」
後ろから怒りを孕んだ低い声が響き、体を強く抱き寄せられる。
振り返ると、謙信様が鬼の形相をして相手の男を睨んでいた。
「彼氏登場かよ。つまんね」
謙信様を見て相手の男は立ち去ろうとするけど、謙信様はあの上杉謙信。
ここで逃がすわけがない。
「おい、貴様——「はいストップ。時間が惜しいので大事にしないでください」