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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第10章 ✼(黄)水仙✼



§ 信玄Side §


「お前が結と恋仲になった時から、もう俺は信長を殺すことなんて出来なかった」


「……っ…」


今同盟を解消しようとも、しなくても俺はきっと信長を殺せない。


「俺はお前の事を勝手に友だと思っている。友の恋仲が悲しむと分かっていて、あいつを殺すことなんてできない」


俺を見つめる謙信の瞳は揺れていた。
同盟を組んでから、謙信はずっと俺の信長に対する憎悪を目にしてきた。
……明確な殺意も時には感じたかもしれない。


「俺だって簡単に諦めきれたわけじゃないし、今だって憎いさ。でもな、結がそれを忘れるほど楽しい日々を俺にくれたんだ」


たった一人の女で、と思うかもしれない。
だが、結はこの城で沢山の笑顔をくれた。
戦で仲間を失う度、人知れず泣いている家臣たちが、結がいる間は何も考えず笑っていた。

…………それは、謙信も。
過去を知っていたからこそ、謙信の幸せそうな顔を見て


(結と出会えてよかったな)


そう思えた。


「結と出会った事に後悔はしていないか」


「当然だ。後悔なんてないさ。出会えてよかったと思ってる」


謙信が結に向けるものとは違うけれど、俺も家族のような意味として結の事が好きだ。
関わりすぎて俺の大きな目的が達成できなくなっても、結と出会えたことに後悔は無かった。


「……そうか」


「辛気臭い話は終わりだ。せっかく結と夫婦になるんだろ?」






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