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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第10章 ✼(黄)水仙✼




「……あぁ。そうだな」


それ以上は何も言わず、黙り込んでしまう謙信。
そんな謙信に、俺は一つの提案をした。


「だから。これからは友としてお前と結を見ていたい」


「友……」


周りが皆的だった謙信にとって、友と呼べるものは今まで一人も居なかったかもしれない。
佐助とも、どれだけ仲が良くとも関係性は君主と家臣。

だけど、俺の中で謙信は間違いなく友と呼べる存在だった。


「まあ……悪くない」


「素直じゃないなあ。そんなだと結に嫌われるぞ?」


「結にこんな態度をする訳ないだろう。貴様だけだ」


「俺だけ、ね。友の特権とでも思っておくよ」


いつもと変わらない会話だった。
違うところがあるとすれば、明確に「友」という言葉を口にしたことくらい。

だが、その時見た謙信の笑顔は俺が見た中で一番晴れやかで、心からの笑顔だった。




——結だけじゃなくて、俺はお前に出会えたことにも感謝しているよ。一度は愛する者を喪い、何かをずっと探すような瞳をしていたとしても、戦で悠然と刀を振るうお前は確かに美しかった




そんな言葉を言うのは流石の俺でも恥ずかしい。
だから、まだ胸の中でとどめておこう。
きっと俺が言わずとも、隣にいる女が既に伝えてくれているだろうから。





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