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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第10章 ✼(黄)水仙✼



§ 結Side §


「久しぶり、結さん」


まだ一人では歩けない体を謙信様に支えられて外へ出ると、そこには佐助くん、家康、信長様が待っていた。


「結……また戻るの?」


弱っている私を前に、すっかりいつもの天邪鬼では無くなってしまった家康。
ツンデレだった頃が懐かしい気もするけれど、次に会った時にはきっと前の家康に戻っているんだろう。


「うん。また元気になってからちゃんと挨拶に来るね。今の私を見せて皆を心配させたくないから……」


「結、俺に何か言う事はあるか?兄になったのだから、無断で他の男のものになるなど許さんぞ」


「「兄!?」」


何も知らない佐助君と家康は開いた口が塞がらないようだった。


「待ってください信長様。兄って何ですか」


「貴様には後でゆっくり説明してやる。で、何か言う事は?」


全てを見透かしたような目。
そういえば、謙信様に何の相談もしないで信長様の妹になることを了承してしまった。


(怒ってるかな……)


恐る恐る謙信様を見上げようとすると、頭をぐいっと引き寄せられ、謙信様の方にもたれかかってしまった。


「結を妻にすることを許してほしい」


「謙信様…っ…?」


「テレビでよく見る娘さんをください!のやつですね……」


「は!?いつの間にそんな話になったの!?」


まさか謙信様から信長様にそんな事を言うなんて。
急展開の連続に、家康はもはやついていけていない。
佐助君も佐助君で一人楽しそうにしている。


「ほう……。お前から言って来るとは思わなかったな」


「お前は最初に結を見つけた。俺が記憶を無くしている間も守ってくれた。兄と認めた訳では無いが、筋は通すものだろう」


「……っ…」


今すぐにでも、抱きしめたい。
そんな衝動を抑えて、私は謙信様の着物をきゅっと握った。


「甘すぎて見てられんな。早く行け。次に会う時はお前の兄でもあるかもしれんな」


その言葉は、私たちの未来を許してくれたのだろう。
祝福の言葉はくれなくとも、信長様の表情はとても柔らかくて、それこそ、妹を見守る兄の顔だった。


「行くぞ、佐助」


「はい。お二人とも、お元気で」


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