• テキストサイズ

〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第10章 ✼(黄)水仙✼



§ 結Side §


久しぶりに会った貴方を見て、泣きだしそうになってしまった。
この人は今から他の女(ひと)の所に行ってしまうんだ……そう思って。どうしてここに居るのか考えるのを止めた。


だから、すごく驚いたの。


──俺の妻になってほしい。勿論、正室として


これは誰に向けた言葉?そんな事を思った。
でも、いまこの部屋にいるのは二人だけで、色の違う二つの双眸が見つめているのは私だった。


あぁ……。戻って来てくれたんだ。


私の大好きな謙信様。
やっと、やっと私を思い出してくれた。
乾いたはずの涙は自分でも気付かぬうちから、ずっと流れ続けていた。

憧れていたものとはちょっと違うけど、予想していたシチュエーションでは無いけれど、プロポーズまでされてしまった。

私でいいのだろうか。謙信様と結婚するということは、沢山の命を預かるのと同じ事だ。
そんな私の不安を謙信様は全て包み込んでくれた。

忘れていた温もりを、体が思い出していく。
不安を全部取り除いて、幸せだけで満たしてくれる。


(愛しています…………)


正直、ここまで弱りきった自分の姿は見られたくなかった。
だからその言葉を口にするのも恥ずかしくて、言いたくても涙のせいで喉でつっかえてしまうから。

言葉の裏に、隠した。


「月が綺麗だな」


「月はずっと綺麗でしたよ」


貴方は知らずに言ったかもしれないけど……私の言葉には確かな意味が込められていた。


*。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+*


月が綺麗ですね
──貴方を愛しています


月はずっと綺麗でしたよ
──ずっと前から愛していました


*。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+*

/ 211ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp